コラム
間取り再考
素材・仕上げのこと
住んでみてレポート
雑記・雑感
bricoleur/COLUMN/about material and finish
コラム
>
素材・仕上げのこと
シリーズ:素材・仕上げのこと
輝くような白い壁
マンションや建売住宅の室内壁は、たいていの場合ビニルクロス仕上げになっています。安くて仕上がりのムラが少なく、張り替えればきれいになるためとても使いやすい仕上材です。
でも、インテリア雑誌でよく見かける真っ白な壁に憧れる方も多いでしょう。そうした壁はクロスなどの貼る仕上材ではなく、塗る仕上材である場合が多いです。
昔の蔵の白い外壁や、エーゲ海の島々の白い街並などには漆喰が使われていますが、現在室内の塗り仕上げの多くはEPと呼ばれる水性塗料を使っています。
塗る仕上材はつぎ目の無い1枚の壁に見せることができるため、伸びやかですっきりした印象になります。空間の構成にこだわる場合にも、ねらいどおりの雰囲気を出しやすくしてくれます。何より出来上がった壁面がとても美しく、まさに輝いているようです。
反面、クロスに比べて汚れがつきやすく清掃しにくいという欠点があります。また職人の腕の差が出やすく、塗りムラも存在します。どんなにうまい職人でも全くムラがないというわけにはいきません。
ただその分、手づくりの雰囲気を感じることができます。また、塗り仕上の壁がだんだん汚れていく様子は、生活の痕跡が蓄積されていくようで結構愛着が湧くものです。
費用はビニルクロスより少し高いか、場合によっては同じくらいです。汚れをあまり気にしない方にはおすすめです。 (H)
鉄のように固い、南洋材フローリング
永く住む家だから木の質感が味わえる無垢材のフローリングがいい。でもキズや汚れが心配。いっそキズや汚れも楽しんでしまえばいいのだけど、そこまで割り切れない。そんなときは、堅固な南洋材のフローリングも選択肢に入れてみてはどうでしょう。
熱帯で育った広葉樹には、アイアンウッドと呼ばれるほど固く耐久性の高い木材が採れるものがあります。日本では主に屋外のデッキテラスの材料として使われています。
こうした南洋材を屋内の床に使うと、ほとんどの木製家具より固いので、どんなにイスや机を引きずっても全くと言っていいほどキズがつきません。またそのまま外部で使えるほど耐久性があるので、最初に軽くワックスをかけるだけで汚れもあまりつかず、木の質感をずっと楽しめます。
ほとんどが深く濃い色あいをもち、しっとりと落ち着いた感じになるし、アジアンリゾートの雰囲気を演出することもできます。
いくつか注意が必要な点も。
通常は流通していないので、材木から仕入れなければならないことがあります。最近はインターネットで直販されているので思わぬ安値で手に入ることがありますが、固すぎて施工手間がかかってしまい、せっかく安く材料を手に入れても最後は結局高くなってしまう場合があります。また、材の質が一定でないことが多く、反ったり隙ができたりします。堅固なだけに変形するとビスや接着剤では押えきれず、防ぎようがありません。
よく特性を理解して割り切って使うことで、独特の空間を得ることができます。 (H)
肌触りの良い床材
建材に限らず材料というのは、相反する性能の間でどうやってバランスをとるかという悩みがあります。こちらをたてればあちらがたたず、っていうやつですね。
木製フローリングの場合、素材感と耐久性との間での綱引きになります。ここで素材感と言っているのは、木の肌触りやあたたかみ、使い込んでいったときに出てくる風合いのことです。おばあちゃんの家が心地よい、っていうのと同じ感じで。反面、耐久性も気になるところで、シミやキズがあまり簡単についてしまうようでは、緊張してしまってゆったり過ごすどころではなくなってしまいます。毎日キズが増えるのもちょっと切ないですよね。
持ち家の場合は次に住む人のことはあまり考えなくてよいので、できるだけ素材感を大切にするように勧めているのですが、ペットがいたりするとあまりそうも言ってられない。でも耐久性ばっちりのツルツルピカピカのフローリングも滑りすぎてダメ。トムとジェリーなみに滑って空回りするので、ペットは大変です。
では、素材感があってそれなりに耐久性もある床材は何か。
おすすめは浮づくり(うづくり)の床材です。木材の表面を金属製のブラシで削って、木目の柔らかい部分を削り取り、固い部分だけ浮き出させた仕上げです。いつも、国産材の加工販売をしている業者さんにお願いして、削り具合を調整してもらって使っています。
この仕上げのいいところは、キズつきやすい部分が最初からキズついてなくなってしまっているので、極端に気を使う必要が無いところ。でも表面は無垢の木そのものなので、使っているうちに、ほどよくじっくり風合いが増していく。それから表面に凹凸があるので足の裏と床の間に少しずつ隙間がある。これがじつはとっても良くて、夏は涼しく冬は暖かい。床暖房の無い部屋で、真冬に裸足で歩いても平気なほど。スリッパ使わなくなります。そしてもちろん、滑りにくい。ペットにも優しいのです。
基本的に柔らかい木の方が良いように感じますが、いろんな木で試してみたい仕上です。 (H)
Copyright(c)2006 bricoleur Ltd. All rights reserved.